準備済んだら土砂降り、 結局花火は上がったのか?

風薫る椎葉里歩き 第5回
ONLY ONE エディター 中川薫

何もかもが中止、中止、中止の椎葉の夏、最後のとりでとでも
言うべき『しいば花火大会2021』の準備が始まりました。

例年なら、打ち上げ場所に近い椎葉中学校グラウンドは、出店が並び、様々な催しで大いに盛り上がります。
でも今年は、昨年に続いて花火の打ち上げだけ、人の集うイベントの類は無し、という事となりました。

「致し方ない、せめて花火だけは盛大に!」
村の有志で組織した花火大会実行委員会の面々の舞台裏の頑張りをご紹介します。

午前9時
実行委員会のメンバーが役場横に集合。
顔を見合わせる誰もが、「今年は晴れたね!」と口々に。
というのも、毎年雲行きとのにらめっこ、今朝の青空に皆心も晴れ晴れといったところなのです。
荷物をトラックに積み込んで出発。通行止めや駐車禁止箇所に立て看板を設置して回ります。

正午
花火師さんたちにお弁当と椎葉のおいしい豚足を差し入れ。
ちょうど、ダムの上に花火の設置作業中でした。
無口に黙々と、まさに職人の風格です。

着火が電気式になり、設置スタイルもずいぶんスリムになったんだとか。
それでも、重そうな金属の筒がズラリ。この中には火薬がいっぱい詰まっているんですね。ぶるる。

午後5時
椎葉村消防団による付近の山への散水。
飛び火による山火事を避けるためです。
消防団員もまた、毎年のしいば花火大会を支える立役者なのです。

午後6時
中学校グラウンド駐車場を開場。交通整理が始まります。
私もカメラを携えて撮影スポットへ移動。

と、おっと、雨が降り出した!

 午後7時55分
にわかに昼間の晴れが嘘のような土砂降りに。
ザーーーー、
ザザーーーーーーーー、
ザザザーーーーーーーーーーーー、

打ち上げ予定は午後8時です。
車の中で機材とともに待機する私は、実行委員本部テントに電話。

「雨すごいですけど、予定通り上げるんですか?」
(まさかね、止むまで待つんでしょ・・?)

「上げるよ!」
「わかりました!」(ナニ!)

一目散に外へ飛び出し三脚を構え、カメラをタオ ルやビニールで覆い、特大の水たまりに足元を侵食されながら、午後8時。

ドーーーン!

雨つぶにも反射してか、大きな光の花が夜空に咲きました。

午後9時
駐車場のお客さんを見送り終 わった頃には、実行委員会のメンバーはみんなずぶ濡れ。でもとても晴れやかな表情です。
大雨でもくっきり綺麗に上がった花火。
結果オーライ、今年も大成功だったね。

この雨じゃあ、片付けは明日の朝。
よし、早く帰って、明日の”別の打ち上げ”に備えますか!