雨粒は、村の緑を映す宝石。湿った森の匂いを立ち昇らせながら、しとしとと村を潤していく。
椎葉村に生まれ育った古川アヤ子さんは、村を楽しむすべを知っている。
「椎葉には緑の雨が降るんです。雨もいいものでしょう?」
そんなアヤ子さんの言葉を聞いたあとは、あいにくの雨も自然からの贈りもののように思えてくるから不思議。
開け放った軒先から雨音が聞こえるご自宅で、アヤ子さんがお手製のお茶うけを振る舞ってくれました。
柚子の皮の甘露煮に梅干し、そして栗の渋皮煮。どれも椎葉村で実ったものたちでつくる贅沢なおもてなし。ご主人の三鶴亀(みつるき)さんと一緒にいただきます。
この甘露煮は、庭で熟れすぎてしまった柚子がもったいないからつくったの、なんて小話をしてくれる。
噛みしめるたびに村の味わいが口いっぱいに広がって。自然からの贈りものを楽しむ暮らしが、ここにはあるように思います。
古川さんご夫妻について、これから少しずつ伝えていきます。お楽しみに。
Local LAB Shiiba
ライター 遠藤沙紀