エノハとったですーー!

椎葉の交流拠点施設『かてりえ』に隣接する保育所。
小雨の降る夏のある日、建設業や食品製造の会社『(有)鈴木組』の鈴木克裕さんが1台の軽トラに、酸素補給用のブクブクを搭載した水槽を積んでやっ
てきました。
水槽の中には自社で養殖している『エノハ』(椎葉ではヤマメのことをそう呼びます)がたくさん。

そう、今日は子どもたちとその親も、お楽しみのエノハのつかみどりの日なのです。

エノハの養殖は手間がかかり、採算のことを考えれば、なかなか大変なのですが、鈴木さんは「椎葉のエノハを絶やさないため」に、養殖や川への放流 を続けています。
今日も、椎葉人にとって一番身近な魚を、子どもたちに体で感じてもらうことが出来ると、張り切って元気なエノハをたくさん連れてきました。

さて、ブルーシートを敷き詰めた特設プールに放たれたエノハは、バシャバシャと追いかけ回す子どもたちの間を、すばしっこく逃げ泳ぎます。
さすが は渓流の女王と呼ばれる魚、そう簡単には捕まりません。

しかし子どもたちもなかなかの強者。
プールの角に追い込んで、要領よく捕まえる子が現れます。初めは腰が引けていた子たちもそれを真似て、だんだんとみんな獲物を手にすることができました。

大はしゃぎの子どもたちの様子を少し離れた場所から眺める鈴木さん。
エノハも子どもたちも、みんな自分の孫ででもあるかのような優しい笑顔です。

その夜は、いくつもの家庭でエノハの塩焼きの香ばしい香りと、子どもたちの自慢話が食卓を賑やかにしたことでしょう。

「鈴木のおじちゃんありがとう。」