山道を車でずっとずっと上り、不安になるほど進んで行った一番奥、道の終わりにぽつんと一軒の民家がありました。
桑の木原集落の、山のてっぺんにお住まいの山中恵蔵さんとそのご家族。家の前には、小さいけれどとても立派な棚田が見下ろせます。
九月の終わり、今年は少し早めに稲刈り。
「一日でも早く刈らにゃ」と恵蔵さん。なんでも、今年は初めてイノシシに田んぼを荒らされ、毎晩灯りを手に見回りをしていたんだとか。
棚田への畦道は、人ひとりがやっと通れるほどの幅で、もちろん大きな機械は通らず、荷物の上げ下げも人力のみ。行き来するだけでも息が上がりそうです。
今年88歳になるという恵蔵さん。
「去年より、腰やら、疲れが残るなあ。」と言いながら、端の方の稲をザクザクと鎌で手刈りする。竹をぐいぐい田んぼにねじ込んで、稲を掛け干し する米竿を立てる。そして孫がバインダーで刈る稲穂の束をあっという間に米竿に掛け終わる。
まだまだ現役、若者顔負けの働きぶり。来年も頑張ってください!