上椎葉ダムは、1950年に着工し1955年に完成した日本初の大規模アーチ式ダム。堤体と呼ばれるコンクリートの壁が、上空から見た時に直線ではなく、上流に向かってアーチ状に湾曲していて、巨大な水の圧力に耐えられるようになっているのです。その高さ110メートル。 ちなみに直線状の堤体を持つダムは重力式ダムと呼ばれます。これは堤体を輪切りにしてみると、下流の方に張り出した直角三角形になっています。堤体のどっしりとした重さで水の圧力を受け止める構造なのですね。 さて、アーチ式ダムの中でも上椎葉ダムの特徴はもう一つ、上椎葉ダム以降に日本で建設された多くのダムは堤体が緩やかにお椀のように膨らんでいるドーム型が主流になっています。それに対して上椎葉ダムの堤体は直立した円筒型のアーチを描いています。 そんなプチ知識をもって、改めて椎葉のど真ん中に鎮座する上椎葉ダムを観察してみてください。その雄大さはもちろん、コンクリートの間に健気に生きる小さな命も愛おしく思えてきますから。
椎葉に地形は急峻な山と谷 が特徴です。だから土木建造物もおのずと巨大なものが多いのです。人と自然が共存するための機能を追求した建造物、美しく、威厳に満ちているように見えました。