『集落支援員』というお仕事。
車の運転が難しくなった方のため、病院やスーパーのある村の中心部まで車で送迎をしたり、定期的に集落の家々を回って、見守りをしつつ世間話をしたり。そのお仕事内容は多岐にわたります。
現在、椎葉村の全10地区のうち5地区に集落支援員が1名ずつ配置されていて、それぞれの地区に密着して活動しています。
その一人、尾八重(おはえ)地区の椎葉のぞ美さんはいわば『お年寄りの助っ人』的存在。
この日は、椎葉満さん、ミヨ子さんご夫妻を病院へ送迎するお役目。片道30分ほどの道中、車内ではバックミ ラー越しにおしゃべり。席が前後で少し離れ ているので、自然と声も大きくなります。
病院で二人を降ろし、待機の時間になると、「もしかしたらあの方、牛乳がいるって言うかもしれんね。」と、別の方にお電話。どこのお宅の牛乳がそろそろ切れるころかなと、そこまで知っているなんて・・・
頼まれていた人気の椎葉のお豆腐も、売り切れないうちにゲットできました。
次は、共同生活支援施設で暮らす尾八重出身の椎葉カツ子さんのところにも顔を出し、 ご機嫌伺い。
「次の病院の日はいつかね?」と二人で確認しあったり、息の合ったコンビのよう。
尾八重の滝(たき)集落、甲斐ハツヨさんは、息子の泰敏さんと二人暮らし。のぞ美さんが来るのをいつも楽しみに待っていてくれます。
耳が聞こえづらくなったというハツヨさん に、まるでほっぺにくちづけするかのように、 耳元でゆっくりやさしく話しかけるのぞ美さん。
漢字の練習帳や、毎日欠かさず付けている日記帳を見せてもらいながら、学校に行くこともままならなかった時代に負けず、自分で努力し、学び続けてきたその勤勉さや丁寧さに触れ、いつも感心させられるのでした。
「私、子どもさんより、お年寄りの方が好きかもしれない。お話を聞くのもとっても楽しいし、皆さんかわいいんです。」とのぞ美さん。
物の少ない時代から苦労をして山あり谷ありの人生を長年過ごしてきた姿に、やっぱりすごいなあと、勉強させてもらっているんだと話してくれました。
そんなのぞ美さんを頼りにしている方が、 尾八重にはたくさん。
「のぞ美ちゃん、またお願いね〜」そう言って見送られ去っていく軽バンの助っ人は、また 来週も尾八重の大先輩たちの家を巡ります。