バスと財木

バスはどこを走っているでしょうか?

走っているのはコミュニティバス、村の中心部上椎葉と各地区とを結ぶ、村人たちの大事な足なのです。  10㎞までなら大人100円、10㎞以上でも200円。さらに70歳以上は無料と言うから、お買い物や通院で上椎葉に向かうセンパイ方は大いに助かりますね。

役場前にあるオシャレなパン屋『中園本店』さんのベンチは言わば村のバスセンター。今日も買い物袋を下げたお母さんたちが、おしゃべりしながらバスを待っていました。

村内のあちこちを車で走っていると、こんな所にも?と思えるような奥まった場所にもバス停の標識が立っているのに驚きます。もちろん毎日というわけにはいかない場所もありますが、村の隅々までくまなく走ってくれるコミュニティバス。免許を返納するセンパイ方が増えてくれば、これからますます大活躍ですね。

 

それにしても・・・『財木(たからぎ)』?  長く椎葉に通っていますが、ここは初めて訪れた場所、いやはや椎葉は広いなあ。

 

仲塔地区の奥の方、国見トンネルの入り口手前から、右手に山の方へ更に入って行く。十根川の最上流部、五ヶ瀬町と諸塚村との境に近い辺り。それが財木。広い広い椎葉の中でも最も北の端っこの方の集落です。

分校跡の近くに住む那須カツエさんは、道に落ちた石を、通行の邪魔にならないように、傍の方へ片付けながら、キヨコさんの家に出かけます。特に用事があるわけではありません。 「ちょっと話しにいくとよー」と。

 

キヨコさんは十も年上だけど、話の合う大の仲良し。カツエさんが車を出して出かけることもあるそうです。  こたつに入って、畑にじゃがいもを植えた話、孫の話、誰とどんな電話したかの話・・・ 「ちょっと話にきた」はずなのに、飛び入り客(私)の参加で盛り上がり、子供の頃の財木の暮らしの話までしてくれました。昔、鉱山があったこと、当時は分校がなかったので小学生時分から下宿していたこと、電気が初めて通った時のこと。

 

財木の名前の由来は? 「本当のことはよく分からんね。」と二人。「でもね、ここは何もないけど木がたくさんあって林業も盛んだったから、タカラの木じゃないけ?」これは自身も林業の仕事もしていたカツエさんの自説です。本当の由来、誰か知っている人がいたら教えてください。