ミツバチのハチミツ

椎葉の蜂蜜は絶品。目の前でミツバチの巣から分けていただいた蜜をその場で頬張った時の感動は、きっとしばらくは忘れられないでしょう。取材したその日から毎日、牛乳に混ぜ、柚子の果汁とお湯で溶いて、パンに塗って・・・すっかり蜂蜜に頼りっきりの生活になっているのですから。

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椎葉辰徳さんにお願いして、蜂蜜を取る様子を見せていただく。丸太をくりぬいた巣の蓋を開ける。この夏せっせと集めた蜜を餌にして、長い冬を越す準備に入ろうとしているミツバチたち。

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巣の上に箱をそっと乗せて、丸太をコツコツと叩く。

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ミツバチたちは行儀よく行進するように上の箱に歩いて移動していく。

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空になった巣から、幾重にも重なった巣のうち1枚だけをそうっと取り出す。蜜を取りすぎては、冬の間に蜂たちが餓え死にしてしまう。蜜が乏しい時には、砂糖や市販の蜂蜜を餌として巣に補充してやることもあるそう。感謝し愛情を注がなければ恵を分けてもらうことはできない。ここでもまた、「食べる」ことが「命をいただくこと」であるんだと思い知らされる。

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蜜蝋と花粉とで作られた巣ごと頬張ると、甘く、ほのかに酸っぱく、深み、旨味・・・うーむ、なんとも言いようのない嬉しさがこみ上げてくる。1匹の蜂が1度にどれだけの蜜を運ぶことができるのか?と考えてみると・・・その途方もない働きに感謝せずにはいられない。「言いようもない嬉しさ」とはミツバチたちへの感謝の気持ちに違いないと、思うのでした。

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今年は例年に比べ、蜂蜜の量は少ないそう。天候や山の状況はもろにミツバチたちの行動、命に影響する。微妙なバランスの上に成り立っている自然の危うさも読み取れる金色のしずく。その輝き、美しさ・・・

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辰徳さんの家におじゃま、昼ごはんをご馳走になる。愛海(まなか)ちゃん、海斗(かいと)くんの行儀のいい兄弟。食事の準備も上手に手伝い、食べ終わるとすぐに食器を台所に引いた。海斗くんの立ち姿がお父さんとぴったり同じで微笑ましい。

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末っ子の碧君(あおい)はお爺ちゃんと親戚の家にお泊まりで不在だったので別の日の写真で失礼。

熊本県の天草からお嫁に来た幸代さんは、初めて椎葉を訪れる道中、あまりの山深さに泣いてしまったそう。海のまち育ちの娘さんなら仕方ないかもしれない・・・

遠い距離と標高差を乗り越えて結ばれた夫婦と「海」の名前をもつ3人の子どもたち、向山日当(むこうやまひあて)、その土地の名の通り日当たりのいい斜面の明るい家で、仲良く、にぎやかに暮らしています。

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