シシを捌く

椎葉の冬は猟の季節。夏からの取材で知り合いになった猟師さんたちに同行してその様子を取材しようと計画していたところでしたが、その前にこの日、通りがかりにイノシシを捌く場面にでくわしてしまった。猟への同行は、いずれまた紹介するとして、今回は100キロ近くあろうかというイノシシを捌く様子を取材させてもらいました。

ゴワゴワの太く長い毛に覆われていたイノシシ、まずは大きなバーナーでその毛を焼く。

_MG_3701

焦げた毛と表皮を落とし、皮膚に埋もれている毛もきれいに剃られた体は驚くほど白く、ツルツルになりました。

_MG_3743

椎葉の猟は犬たちが主役と言っていいくらい。自分たちが追い詰めて身動きが取れないようにし、猟師が仕留めた獲物を軽トラの荷台から満足げに見つめる犬たち。猟の時は命の危険も顧みずに何倍もの大きさの猪に立ち向かうのに、猟師には健気に従順で、驚くほどおとなしいのです。

_MG_3740

_MG_3759

猟師たちのリーダーであるベテラン猟師のシゲユキさん、取り出された内臓の中から膵臓の一部をナイフで切り取って、おもむろに森と川に投げました。山からいただいた大切な命、まずは、山の神と水の神に捧げる事を忘れないのです。その後胃袋を切り裂いて中を見せてくれました。おからのように真っ白いのはブナの実だけを食べているから、肉質が最高のシシの証です。

_MG_3785

若い二人、椎葉誠也さん、甲斐勝太さんは手際よく捌いていく。これがシゲユキさんの今年最初の獲物。その年に獲れた最初の1頭は地区の猟師全員に分けて食べてもらう習わしになっているそう。

_MG_3796

_MG_3810

_MG_3804

ほんの一時間のあいだに、黒い塊、山のケモノだったイノシシが白く美しい肉に変わる。人が食べない部位は犬たちのご馳走になる。お裾分けにいただいた肉片、ビニール袋に入れられたそれは、ただ美味しそうな高級肉にしかみえませんでした。

人が他の生き物の命を、自分の命に少しずつ置き換えながら生きている事。レストランでハンバーグを食べたり、スーパーで肉を買ったりしているだけでは到底考え及ばない大切な事をしっかり見る事ができました。いつかふと思い浮かんだ言葉が、また頭をよぎる。「椎葉には本物がある。」本物の強さ、美しさ・・・

命を人間や犬たちに譲った猪の頭が、穏やかに見れたのは・・・ここが山の神、水の神に守られた椎葉だから、なのかもしれません。

_MG_3819

松尾小学校(ムービー)

ミツバチのハチミツ

関連記事

  1. 焼畑2015(ムービー)

  2. 清田商店はにぎやか

    向山地区の中心、道沿いの斜面に建つ『清田商店』。何やら楽しそうな雰囲気に誘われて、ついつい入って…

  3. 山師はCOOL(ムービー)

    山師、尾前慎二さんは脱サラ後に会社を立ち上げ自ら社長として大規模な伐採などを手がける。職人たちの安全…

  4. 「食べる」は「作る」

    向山日添(むこうやまひぞえ)標高1000メートルに暮らすお父さんとお母さんを訪ねました。お母…

  5. 椎葉のいろ

    色とりどりの器たち。作者は清田政憲さん。「村の人に恩返しをしたい」と、生まれ育った椎葉村…

  6. 上椎葉ダム

    「あそこには昔、椎葉でいちばん栄えた集落があったのよ」展望台から上椎葉ダムを指さしながら、観光ガ…

  7. 牛がつなぐ家族の絆

    椎葉には牛の繁殖農家さんがたくさんいます。椎葉で生まれた子牛はやがて競りにかけられ、全国各地で立…

  8. ONLY ONE Shiiba

    この村の森や谷はこの村のつみ重ねてきた時間はこの村の食べ物はこの村…

PAGE TOP